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シドニーにいた時、最後の3年半くらいですがギグを貰えるようになりました。 お店をしながら、音楽教室で教えながらなので、週末限定でした。 電話で、日時、場所、金額、どんな感じの仕事か、誰とやるのかを伝えられて、現地集合というものです。 「彼女はグリーンだ」 「?」 「つまり経験ないって事」 僕は自分より経験ない人と仕事をした事がありませんでした。 少し戸惑いましたが、来るもの拒まずの僕は引き受けました。 「大丈夫、ヒトシならやれるよ」 いつもテキトーなスティーヴはそう言って電話を切りました。 何度か演奏してるモスマンクラブは、家から10分もかからないし、快適な所です。 まぁ何とかなるだろう、と挑みました。 確か僕、ベース、ドラム、そして新人のシンガー(女の子)だったと思います。 現場でシンガーが持ってきたコードチャートを見て、困りました。 知らないポップソングばかり…コード進行自体は簡単なんだけど、歌詞の上にコードが書かれているだけのやつ。 それだといつコードが変わるのか分かりません。 曲を知ってないと厳しいです。 せめてテンポやグルーヴ、スタイルが書かれていればいいのに。 リハの時間は無いし、そのままテキトーにやるしかない。 始まってすぐ修羅場と化しました。 経験が少ないシンガーはその場でリード出来ず、リピートするのか、いつ終わるのか、どうして欲しいのか、早め早めにサインが欲しいんですけど、まだ難しい… 僕がそういう時に、強引に作れるだけの、力と引き出しがあれば良かったんです。 要するに僕も経験が足りないって事でした。 いつも周りがなんかいい感じにまとめてくれる。 僕はちょっとスパイスになれば良いだけのポジションが多かった。 3セット終わるまでが長く感じました。
モスマンクラブなら、ドリンク飲みながら、オーシャンヴューを楽しむ余裕すらあるのに、3セットなんてすぐなのに… 頭痛が酷く、すぐに帰宅しました。 力量の無さ、ぶざまな映像がぐるぐる頭の中で繰り返し流れてました。 つくづく、経験からしか学べない事があるんだなぁと。 そう考えると、それはそれで良い経験になりました。 コメントの受け付けは終了しました。
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4月 2023
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