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大使館からそのまま移民局に行きました。 まだ午前中の清々しさを感じながら、ビルの中に入り… ついにという気持ちでカウンターに向かいました。 「言われた通り、パスポートを用意しました。はい、どうぞ」 と白人中年女性に、出来立てのパスポートを手渡しました。 そして彼女はカウンターの奥に消えて行きました。 しばらくして、戻ってくるとガラス越しのカウンターから、こちらに出てきました。 彼女はスペイン語で何か言うのですが、僕の反応がないのを見て… 「お前、英語分かるか?」 いきなり怒鳴るので、呆気に取られました。 「はい」 「お前はここで何をしている?何のつもりだ?」 「ブラジルにまた戻ろうと思ってます」 「だめだ!お前のビザはもう終わる、更新などしない」 「いや、前来た時にパスポートを用意すればいいって…」 その言葉を遮り、 「だめだ、だめだ!本来ならここから強制送還したいところだが、10日間だけ許してやる。荷物をまとめて国に帰れ」 全く予期せぬ返答に、一瞬何が何だか分かりませんでした。 前回来た時にそうと言ってくれれば良かったのに、やはりこういうのは接客する人によって違うのでしょうか。 ビザの事はよく分かりませんし、とにかくそんなものなのかと。 食い下がって事態が悪くなるよりは、諦めるしかないと。 蹴飛ばされて追い出された訳ではありませんが、何だか自分が野良犬のように扱われたと感じました。 悲しかったです。 その後、少し放心状態で歩きながらも、色んな思いが巡りました。 「あれはもしかして、現金くれって言うサインだったのかな?」 ブラジルではよく聞く話です。 「交通違反で捕まっても、現金握らせて、これでカフェでも飲んでくれよって言えばいいとか言うしなぁ…」 「でもそんなに現金持ってないし…」 惨めな気持ちにもなりました。 「やっぱ外国人って立場は、弱いよな」 「即刻、国に帰れかぁ。酷いよなぁ」 まあ確かに情報不足とは言え、結局僕が甘かったです。 自分の身分くらいしっかり把握しておくべきです。 人の言葉を信用した自分がバカでした。 彼らは責任取れませんしね、取る気もありませんが。 「大丈夫、大丈夫ってよー。何にも大丈夫じゃなかったじゃん…」 弟とヴァギネルとレストランでランチを食べました。 僕はその後の事はもう覚えていません。 「俺は一体ここで何をしているんだ…」 屈辱のアスンシオンとなりました。 情報がない故に、あれこれ回り、結局どうにもならなかった。 野良犬のように扱われて終わりました。 自分のバカさ加減にも腹が立つ。 弟がそばにいてくれた事だけが唯一の救いでした。 帰りはベロオリゾンテに直行せず、パラナ州クリチバ市に向かいました。
最初にお世話になった日系人家族に、お礼とお別れの挨拶をする為です。 パラナ州は少し南に位置しているため、冬は少し冷えます。 夜中、バスに隙間風が入るせいか、寒さに凍えて弟は全く眠れなかった事だけ覚えてます。 それ以外はもう何も覚えてません。 コメントの受け付けは終了しました。
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4月 2023
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