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アスンシオンの日本大使館を出て、また5時間バスに揺られて、国境付近の小さな町に向かいました。 ジュニオの友達が住んでいたからです。 ヴァギネル(名前)の小さなログハウスに、一泊させてもらいした。 国境付近は赤土です。 道路も舗装されておらず、到着した時はすでに夜でした。 赤土はパウダー状で、砂埃が酷かったです。 赤く血に染まったような月を初めて見ました。 風が吹いている訳でもなく、穏やかであっても常に砂埃が舞っているからです。 そう分かっていても、不気味でした。 「なんと不吉な、これ以上の災難はよしてくれよ」 と呟きながらヴァギネルの家にお邪魔しました。 好奇心旺盛なジュニオは、ちょっと辺りを散歩してくる、と出て行きました。 ヴァギネルはとても優しく、 「心配しなくていいよ、来週また国境に来たら俺がガイドしてあげるから」 彼の助けで、またパラグアイに来る事にしました。 実は帰りのバスは翌日の朝6時半発で、5時半にはタクシーでバス停に向かわないといけません。 ヴァギネルと、4時に起きるくらいで丁度いい、と話し合ってました。 とにかく疲れてました。 早く寝たい。 でも、ジュニオが中々帰って来ない… 実は田舎の小さな町は、住所すらありません。 郵便物は最寄りの店に預けられるそうです。 街灯もほぼ無く、家の灯りを頼りに歩くみたいな感じです。 そんな中、好奇心旺盛過ぎるジュニオは、道に迷ってしまいました。 「ジュニオよ…いつも考えが甘過ぎなんだよ」 「そんな事言っちゃいかん。こんなに手伝ってもらっといて…」 「大丈夫かな?変な奴らに捕まってないかな…」 などと疲れと眠気と心配で頭が混乱してました。 12時過ぎになってようやく、彼は家に帰って来ました。 憔悴し、いつものお調子者ジュニオではなく、反省気味だったので、敢えて責めませんでした。 腹が減ったと、それから何か食べて、シャワーを浴びて、さあ寝るぞという時に… 目覚まし時計は誰が持つか?という話になり、晩飯を食べていつものお調子者に戻ったジュニオが、俺に任せろと、時計を奪いました。 僕は不安でした。 結局寝たのは2時過ぎになっており… 案の定、ジュニオは6時半に目を覚まし、僕とヴァギネルを起こしました。 バスは6時半に出発するのに… 彼を信用した自分が悪かった。 同時に、昨日からの悪夢はまだ終わってない事に気づきました。 それから急いで支度し、ヴァギネルに礼を言い、そしてまた来週宜しく頼む、と言って別れました。 タクシーを探して赤土の道を走りました。 でも、そもそも田舎なのでタクシーなんて見当たらず… 疲れと、睡眠不足と寝起きのままで、赤土の砂埃をまき散らしながら、走り、探しました。 やっと見つけたポンコツのメルセデスに乗り、バス乗り場に向かいました。 すでに7時半を過ぎてます。 もう走らなくていい、という安堵もつかの間、もうアカンという思いに狩られました。 タクシーの中で、あれこれ考えました。 さすがにもうバスは出発してしまっただろう、しかしその他にも… 「どうしよう、またチケット買わないといけないのか?」 「買えたとしても、出発は数日後だろうな」 など色んな思いが交錯しました。 バス停に近づいて、道路をふと見たら… なんと、奇跡的にそのバスがタクシーとすれ違ったではありませんか。 「うそ!まだいたの?」 と、急いでタクシーから降りて、ジュニオが追いかけて行きました。 僕はお金をドライバーに払ってから、後を追いました。 やっとの事で、赤信号で止まったバスを引き止め、乗り込み… 「お前らのことずっと待ってて、今出たとこだった。ラッキーだな」 と言われてしまいました。 2時間も遅れて出発するなんて、さすがラテンだなと。 そういう事もあろうかと、ジュニオは諦めなかったのか?さすが僕にはそこまでは思い付きません。 そんな時日本人なら、いくらなんでも待ってる訳ない、諦めようと思います。 こんな具合で、やっとの事で帰途に着く事が出来ました。
一体僕は何をしてるんだろう? 何も事が進まず、悪い事ばかり続いた旅の前半でした。 コメントの受け付けは終了しました。
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4月 2023
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