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人生で最悪だった瞬間は、「母危篤」のファックスを見た時です。 夜中に電話の音で目覚め、ファックスが流れてきました。 心臓が止まるかと思うほど、バクバクしました。 ちょうど店を売却し、ギタリストとしてフルタイムでやって行くと言う時でした。 演奏の仕事も増え、何とかなりそうだったからです。 大げさに言うと「夢を手に入れた」ばかりでした。 その後は激動の1年でした。 最愛の母を亡くし、しばらく寂しさに浸る日々でした。 でも父を想うと、日本に帰国せざるを得ませんでした。 永住すると思い込んでましたが、父には代えられません。 これまでいつもサポートしてくれた、本当に優しい父です。 その父が人生最大の危機にいると言うのに、自分の夢を優先するなどできません。 全て放棄しました。 そうする価値が父にはあったのです。 神様の御心ならば、再びギターを弾ける時が来るだろうと。 帰国直後、妻の妊娠を知りました。 母を失う悲しみに替えて、神様は慰めを下さいました。 新しい命の喜びに、将来への希望が湧き上がりました。 母の命日とほぼ同時期に娘は生まれました。 人生で最悪の瞬間から1年、最高の瞬間を迎えました。 「最悪の瞬間」と書いたのは、本当にそうだからです。 恐怖を感じるのは90秒くらいだと何かで読みました。 その後はそのショックに対する反応だそうです。 僕の場合、色んな人に助けられました。 教会の牧師夫妻をはじめ、本当に多くのクリスチャンの兄弟姉妹が、良くしてくれました。 急いでチケットを買い、帰国するも、滞在する場所もなく、どうしようかと思っていました。 しかしその心配をよそに、日本の教会の方で全て準備してくれていたのです。 宿泊、食事、葬儀、埋葬に到るまで、全てを助けて下さいました。 家族が何も思い煩う必要なく、全てがスムースに、細かい配慮を持って対処してくれました。 この時ほど神様の慰めを感じた事はありませんでした。 本当に辛い時なのに、なぜか温かい気持ちが心の奥底に流れていました。 「大丈夫だ」と言われているかのようでした。 だから完全なパニックになったのは、あの90秒だけだと言えます。 母の死のおかげで「死」はとても身近なものとなりました。 葬儀も温かい感じが終始漂っており、想像していたものよりずっと良かったです。 今はしばらく会えない悲しみがあるけれど、やがて再会する希望と確信があるからです。 そして娘の誕生で、僕の人生は変わりました。 こんなに愛おしい存在がこの世の中にある事が、信じられませんでした。 汚れた僕の心の一体どこに、こんな美しい心があったのだろうと。 自分ですらこんな尊い気持ちを抱いて、娘を見ているのです。 驚いたのは、父になって初めて神様の気持ちが分かった事です。 「この愛とは比較にならないほど、大きく深い愛で僕の事を見てくれていたんだ」と独りごイエス様を与えて下さった、神様の愛を初めて知ったような思いになりました。 人生最大の危機にも、喜びの時にも、神様はご自身を示して下さいました。
これからもそうでしょう。 そしてこの世を去る時も。
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4月 2023
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