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お店を10年経営できたのは、本当に良い経験でした。 1996~2006年にわたり、シドニーで日本食のテイクアウト専門店をやりました。 何の経験も無かったのに上手く行ったのは、全て神様のおかげです。 「ビジネスとは客が欲しがるものを提供する事」
これは鉄則で、飲食業に何の思い入れもなかった僕は、すんなり売れ線だけに絞る事ができました。 売れないモノは容赦なく止める事ができました。 板前さんが店長だとそれが難しかったようです。 僕は無知ゆえの無鉄砲さと、あきらめがありました。 それで同じく日本食に無知なオージーの感覚に合わせる事が出来たのです。 何のプライドもないからです。 気にしていたのは、食材の新鮮さだけです。 売れ線に絞り、タスマニアサーモンとチキンのメニューがほとんどでした。 日本のマヨ味がウケて、「これ何のクリーム?」と皆が夢中になりました。 とにかく、「売れるモノだけに絞って売る」これ以上シンプルな考えはありません。 しかしその考えはビジネス的には正しいかもしれませんが、本音は嫌でした。 プライドがなくても、「日本食とはいえない」「ヘルシーじゃない」モノを売り続ける事に抵抗がありました。 ビジネスの効率だけを追い求めて、次第に無感動となりました。 無感動な日々は疲れます。 と言いつつも、良心的な店だったと思います。 近所は「どうせオージーには分からんだろ」と不誠実な商品を出していたからです。 今僕はその「売れるモノを売る」事に抵抗があります。 「いくら稼いだかよりも、どうやって稼いだかの方が重要だ」というゲーリーヴィーの言葉がよく分かるようになりました。 どうすれば売れるかは分かります。 しかし、それが文化を変えるようなモノか?そこが肝心なのです。 若かりし日の僕にはそれがありませんでした。 今はギターの教則本を販売してますが、それがあります。 ただそれは認知度が低く、あまり売れません。 忍耐が必要です。 全てのギタリストに有益で、かつ本質的な教えです。 もう僕は昔の「まず売り上げありきだろ?」的な自分とは違います。 若い人がまだ経験もなく、かつての僕と同じ事をしているのは理解できます。 でも、今の僕はもうしたくありません。
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4月 2023
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